弁護士コラム

2020/05

民法(債権法)改正

室之園 大介

 2020年4月1日,改正民法が施行されました。今回の改正は,「債権法改正」とも呼ばれ,民法のうち債権に関する規定を大きく改正することを内容としています。民法の債権関係の規定が大規模改正されるのは,民法が明治29年(1896年)に制定されて以降初めてということです。
 今回の改正内容は多岐にわたり,①消滅時効,②法定利率,③契約の解除,④詐害行為取消権,⑤保証,⑥債権譲渡,⑦相殺,⑧売買契約,⑨消費貸借契約,⑩賃貸借契約などに関する規定が改正されましたが,これらの他にも多数の規定が改正されています。
 それらの改正のうち主なものを一つ挙げると,保証に関する改正があります。具体的には,今回の改正によって,(法人ではなく)個人が,一定の範囲に属する不特定の債務について保証人となる場合(このような保証を「根保証」といいます。)には,保証の責任を負う極度額を定めなければならないとされ,極度額を定めなかった場合にはその保証契約は効力を生じないこととされました(厳密には,今回の改正前から,「貸金等に関する債務」の根保証については極度額を定めなければ効力を生じないとされていましたが,今回の改正によって,「貸金等に関する債務」以外の債務の根保証についても極度額を定めなければ効力を生じないものとされました。なお,保証に関する改正の内容は,これだけではありません。)。
 保証に関する改正によって,例えば,建物の賃貸借契約に付随する保証契約については,今後は極度額を定める必要があるなどといわれていますが,建物賃貸借契約に限らず,これまでの契約書の条項を見直す必要があるケースが多々あると考えられます。
 また,今回の改正内容は多岐にわたるため,保証以外にも契約書の条項を修正する必要がある可能性があります。
 そこで,これまで使用していた自社の契約書の書式を見直したい事業者の方,新たに締結した契約書の内容が民法改正に従っているか疑問がある方など,民法改正に関するご相談のある方は,是非お気軽にご連絡いただければと思います。

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