弁護士コラム

2017/04

桜の花に寄せて

日向 誓子

 気がつけば、2017年も、4分の1が過ぎ、桜の季節が巡ってきました。
 今年は、3月中旬に桜が開花したものの、肌寒い日が続き、4月に入ってようやく満開となりました。満開になるまで時間がかかった分、今年の桜は、例年よりも一層美しく感じられます。
 満開の桜を見上げて、幼い頃に祖父母とお花見に行った時のことを思い出すとともに、最近、よくご相談をいただくご高齢の方の財産管理について考えていました。

ご高齢などによって判断能力が不十分となった方に代わって財産の管理等を行う法律上の制度として、現在、法定後見制度と任意後見制度があります。
法定後見制度は、ご本人の判断能力が不十分になった場合に、家庭裁判所の審判により後見人等が選任されて開始し、後見人等が財産の管理などを行う制度で、ご本人の判断能力の程度に応じて後見、保佐、補助の3つの類型があります。
任意後見制度は、ご本人の判断能力が不十分となる前に、自分に代わって財産の管理等を行う後見人候補者を選んで公正証書によって契約を結んでおくことにより、ご本人の判断能力が不十分となったときには、予め選ばれていた者が後見人として財産の管理等を行うこととなる制度です。

この2つの制度の他にも、高齢者の方の財産管理等を行う方法として、家族信託といったものもあり、後見制度創設から20年近くが経過した今日では、ご本人の状況に応じた選択肢が考えられます。
一方で、選択肢がある分、情報が錯綜してしまい、どのような制度が相応しいのかよく分からないというお話をお聞きすることもよくあります。特に、高齢になられた方は、お元気で判断能力に衰えのない方であっても、どうしても目の前の心配事が気になって、そのことだけにどうしても意識が向いてしまい、的確に現状を伝えることが難しいという場面が見受けられます。
そのような場合には、私は、少しご相談の時間を長めに取らせていただいたり、何度かご相談にお越しいただいたりして、ゆっくりお話を伺って、最も適した制度をご案内するようにしています。もし、時間をかけたご相談をご希望の場合には、事前にそのようにお伝えいただければと思います。

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