弁護士コラム

2014/02

相続に関する関心が高まっています

南竹 要

 最近、後見制度や遺言、相続に関して講演のご依頼を頂くことが何度かありました。
 相続税制改正により、相続税の基礎控除額が5000万円から3000万円へと4割引き下げられ、実質的に増税となったこともあり、関心が高まっています。
 その結果、地価の高い首都圏では、不動産を所有している方々は注意が必要です。遺産の評価上、これまでの基準では相続税を支払う必要はなかったのに、改正後の基準では相続税を納めるようになる人の数が飛躍的に増加すると見込まれています(小規模宅地等の特例の改正により同制度が適用される場合には一部減税となる場合がありますが)。
 昨今、「終活」という言葉がもてはやされています。人は、突然亡くなる場合もありますが、次第に判断能力が低下し、財産管理ができなくなることがあります。
 ご自身の財産をどうやって最期まで管理するか、亡くなった後は誰にどうやって承継させるのかについて、弁護士が果たせる役割は大きなものがあります。
 判断能力の低下に備えてご自身が財産管理について詳細に決めておく方法として、任意後見制度が用意されています。
 これに対して、法定後見制度というのは、判断能力の低下後、親族等が裁判所に申し立てて成年後見人等をつけてもらうものです。
 「終活」という観点からすれば、ご自身が、これと思う弁護士等に依頼して、判断能力低下後のことを主体的に決めることができる点や、死後の遺言や遺言の執行等まで包括的に依頼できる点で、任意後見制度(およびそれに付随する各種契約)が適しています。
 判断能力低下から死亡までの間をカバーするのが後見制度であるのに対し、死亡によって財産をご自身の意思で承継させることを可能にするのが遺言です。
 遺言状は、たとえば、夫婦連名で書いてあったりすると無効とされたり、厳格なルールがあります。また、いくら長男にすべて相続させると書いても、遺留分制度によりその実現ができない場合もあります。
 相続人の立場からすれば、遺言状が出てきた場合でも、それが無効となったり、その内容どおりにならない場合もあるわけです。
 「争族」とならないように、遺言状の作成に際しては、弁護士に相談されることをお勧めします。また、相続人の方は、遺言状があってもその無効リスク等につき相談を、遺言状がなくても長男は生前に贈与を受けているからもらいすぎではないか(特別受益)、私は介護を一手に引き受けたことを評価されないのか(寄与分)につき相談されることをお勧めします。
 「かかりつけ医」(ホームドクター)と同様、「かかりつけ弁」(ホームローヤー)として皆様からの気軽な相談を受け、利用しやすいコストで法的サービスを提供できるように精進して参ります。

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