弁護士コラム

2013/06

弁護士とIT

南竹 要

 昨今のユビキタスコンピューティングの発展はめざましいものがあり、その効用を弁護士業務に利用すべく、私も日々情報の交換・共有に余念がありません。
 弁護士業務についていえば、必要な法律書籍は電子書籍で即座に見られますし、本自体も翌日事務所に配送されてきます。適宜クラウド等を用いて事務のPC、スマートフォン、インターネット接続可能なPCから必要な情報にアクセスできる環境を整えれば、事務所のデスクが常に身の回りに存在するような状態にでき、非常に便利な世の中になっていることを実感します。
 社会的にも、デジタル化への対応力をある程度磨いておかないと、日々のデジタル化された取引の実態を把握し損ねたり、そこにつけ込んだ詐欺事例に巻き込まれる等の害悪にさらされる危険があります。
 弁護士もこうした動きに常に目を見開いて、何が問題となっているのか、という視点から状況を見つめる必要があると思っております。
 何らかの情報格差が生じ、そこにつけ込んだ勢力が社会的弊害を引き起こし、被害が生じてそれが社会問題化してようやく法的な保護立法がなされるようなことも多いのが常です。
 「何が問題か」というのは、自らがそうした技術の利用者として精通していなければ、なかなか気づくことができない面があります。
 最近話題となっている、PC遠隔操作事件では、捜査機関のITに関する理解度不足が伺え、この理解不足が無罪が推定される被告人の人権を不当に侵害しているのではないか、ということが問題となっています。
 その他、国際社会では、国家間において、サイバー攻撃を受けた受けないが論争になっていますし、元CIA職員とされる人物が、米国において膨大な個人情報を秘密裏に詮索していると暴露し、その真偽は未だ定かではないものの、国家の枠を超えてサイバー空間に存在する膨大な情報をどう管理すればいいのか、というルール作りが欧米では議論され始めています。
 今後とも、流れる膨大な情報から、警鐘すべき事案等を選び、皆様にお届けすることができればと思いますし、インターネット空間でトラブルや困ったことがあればご相談いただければと思います。

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