弁護士コラム

2012/06

3つの長になったけれど

阿部 泰典

 ご無沙汰致しております。2010年5月以来の登場の阿部泰典です。

  本年1月に横浜弁護士会野球部(横浜マリナーズ)の監督に就任し、4月には、横浜弁護士会法律相談センター運営委員会の委員長及び横浜弁護士会財務室の室長に就任しました。 
野球のお話は、2009年10月のこのコーナーに書きました。その際には、弁護士会の副会長が終わったら、「マスターズ」でのんびりした野球がしたいなどと書いておりましたが、「マリナーズ」の監督に就任してしまいました。監督就任の要請は、GM(ジェネラルマネージャー)から2010年のオフよりあり、固辞しておりましたが、昨年末の要請には、これ以上固辞できない状況となり、お受けすることになりました。

  横弁野球部は、毎年3月から12月にかけての毎週土曜日に試合か練習があります。登録メンバーが60名ほどいる我がチームは、レギュラー争いが熾烈なため、監督は選手たちのすべてのプレーを見たうえでスタメンを決めることを要請されているため、すべての試合・練習に出席することを事実上義務付けられております。そのため、土曜日は事務所に出られないことも多く、お客様にはご迷惑をおかけすることがあるかもしれませんが、ご容赦いただければと存じます。横浜弁護士会は東京の3弁護士会等と違って、派閥がないのですが、上記のとおり登録メンバーが60名ほどにも及ぶ野球部は横浜弁護士会の最大派閥とも言われております。

  法律相談センター運営委員会というのは、横浜弁護士会が弁護士会館、横浜駅東口(横浜そごう)、川崎、海老名、横須賀、相模原、小田原に設置している法律相談センターの運営等を担っております。法律相談は弁護士の基本的な業務の一つでありますので、法律相談センター運営委員会は弁護士会の基幹委員会の一つと言えます。10数年前くらいまでは、市民の方の弁護士へのアクセスを良くする、弁護士の敷居を低くすることが委員会の主な検討事項でしたが、この10数年の間に、弁護士事務所の広告が解禁されたり、日本司法支援センター(法テラス)ができたりしたことにより、弁護士会の法律相談センターの相談件数は減少傾向にあります。弁護士会の法律相談センターは儲ける必要はないのですが、相談事業によってある程度の資金が得られれば、弁護士会としてより充実した市民サービスができることになりますので、相談件数は伸ばしていきたいと考えております。もっとも、弁護士会の法律相談センターは、当事務所の法律相談にとっては、ある意味、競争相手になる訳ですので、競争相手の相談件数を増やすことを考え、実行していかなければならないのは、実は内心、複雑な思いがあります。

  財務室という部署は、弁護士会の会計担当副会長(私も平成21年度に副会長をやったときは会計担当でした)の補佐をするとともに、支出のチェックを担っております。弁護士会は、毎月4万円強の弁護士会員から納められる会費や前述しました相談事業によって得られた相談料等によって運営されておりますが、弁護士会も無駄な支出を控えて、健全な財政を維持すべきは、一般の法人等と同じであり、弁護士会のいわばお財布を管理する重要な任務と言えます。

  以上のとおり見てくると、私は、最大派閥の現場のトップとなり、基幹業務を遂行し、お財布を握った立場なので、一般の企業や役所であれば、「これって、もしかして出世コース?」とちょっと嬉しかったりするかもしれませんが、弁護士は弁護士会の中で仕事をする訳ではなく、あくまでも個人事業主なので、一弁護士にとっては負担ばかりが増えて(もちろんどれも無報酬)全く嬉しいことではありません。

  弁護士にとって一番大事なことは個々の依頼者の方の一つ一つの事件を誠実に対処していくことだと思っておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

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